骨粗鬆症は、骨がもろくなって、骨折をしやすくなる病気です。最初は自覚症状がありませんが、ひどくなると骨折を起こし、寝たきりの原因となる場合もあります。
次の項目に当てはまる場合は、特に骨粗鬆症に注意が必要です。
① 閉経後の女性
② 高齢者(男性も)
③ やせ型
④ 身長が2cm以上低下
⑤ 身内に骨粗鬆症がいる
⑥ 運動不足
⑦ カルシウム摂取不足
⑧ アルコール・ コーヒーの多飲
⑨ 喫煙
⑩ 日光照射不足
⑪ ステロイドの使用
⑫ 胃切除歴、糖尿病などを合併
骨粗鬆症の診断には骨密度測定、脊椎X線像、血液検査を行います。
脊椎X線を撮影する目的は、背骨が自然と潰れてくる“いつの間にか骨折”が生じていないかを判定するためです。
血液検査は、血清カルシウム値や骨代謝マーカーを測定します。骨代謝マーカーとは、骨の吸収や形成の状態を判定するものです。また、治療薬を使用している場合、副作用が生じていないかを検査します。
骨密度は、若い人の平均値(若年成人平均値)を100%として、減少した割合を評価します。
骨粗鬆症と診断されるのは、次の三つのいずれかに該当する場合です。
① 脊椎骨折(圧迫骨折)または大腿骨近位部骨折(股関節)をした場合
② 橈骨遠位端骨折(手首)などの骨折歴がある場合は、若年成人平均値の80%未満
③ 骨折をしたことがない場合は、若年成人平均値の70%以下
骨密度に関して、年齢相応だから大丈夫ということはありません。また、「何歳の骨」という表現も誤解を与えるため用いられていません。
骨粗鬆症の予防の三本柱は、カルシウムとビタミンDの摂取、運動、適度な日光浴です。検査の結果、骨粗鬆症ではなかった人は予防に心がけましょう。また、骨粗鬆症と診断され、薬物療法が必要な場合もカルシウムとビタミンDの摂取、運動、適度な日光浴は薬の効果を高めるためにも必要なことです。
骨粗鬆症と診断された場合は、カルシウムとビタミンDの摂取、運動、適度な日光浴だけでは骨折リスクが十分に低下しませんので、薬剤が必要となります。
病院で使用する薬剤は、使用した場合と使用しない場合での骨折の発生を比較して、使用した場合には明らかに骨折が低下したことが証明されたことにより厚生省が承認したものです。
骨粗鬆症の治療薬は多くの種類があります。投与間隔には、毎日、週1回、週2回、月1回、6か月に1回、年1回のものがあります。また、薬剤の使用方法として経口剤(飲み薬)、注射剤(自己注射または病院での注射)があります。
どの薬剤を選択するかは、骨折歴、骨密度などの骨粗鬆症の状態をもとに主治医と相談して決定されます。
非常勤医師髙田 潤一(たかだ じゅんいち)